SOTO Archive
SOTO is a studio/live music venue by kukangendai

ABOUT

京都にあるライブハウス、「外」のフライヤーの仕事に於いて石塚俊のアートワークは加速度的に変化し進化して、ある時点で飛躍を遂げた。
初期のアートワークにおけるデザイナー的な書体や色のセレクトする控えでセンスの良い佇まい、時折見せる凶暴さはあるにしても上品な若者的な控えめさがある段階から、現在のグラフィッカーとも呼べるような絵を描き文字を切り裂き空間を捻じ曲げて新たなテクスチャーを作り出すようすというのを私は見ていた。それは、2017年から2019年辺りのことだったように思う。考えてはいけない程のペースで作る続けることで体が反応したのか、ある時点で飽きたことで次の段階に行ったのかはわからない、しかし「外」のイベントの多さ、その仕事量こそが今のスタイルを作ったと言えるだろう。あのイベントの量を1人でフライヤー作りを担当していてどれも創意工夫がなされている。その熱量は尋常ではない。

空間現代は、実験的なサウンドを作るだけでなくライブハウスやイベントを企画して日本におけるオルタナティブな文化の一部を担っている重要なバンドだ。ギター、ベース、ドラムだけというスタイルを守る頑固さ。その上で、ヒップホップやダンスミュージックの要素を取り入れる柔軟性という矛盾した要素を持ちロックミュージックの限界点を推し進めている。
セカンドアルバム、空間現代2はじゃがたらの南蛮渡来や、Number GirlのSAPPUKEI、54-71のI'm not fine,thank you.And you?に並ぶ日本のロックにおける金字塔だろう。「外」で行われているイベントを見ると実に多岐に渡っている、ジャンルもそうだが本の出版イベントであったり映画の上映であったりさまざまな種類、人種が入り乱れていてその多方向へ開いていこうとする姿勢に驚く。

1989年のイギリスでNew OrderというバンドがTechniqueというアルバムを出した。1989年はレイヴの嵐が吹き荒れる中でそのアルバムは素晴らしい出来だった。前身のバンドJoy Divisionのファーストアルバムが出たのが1979年だから彼らは見事に10年間もの間、ポップミュージックの最前線に君臨し続けた。
その要因の一つは、彼らはバンド活動だけでなくHaciendaというクラブを持っていた。そこでは、新しいバンドやDJが日夜実験を繰り返しておりメンバーもそこで行われている新しい流れに影響を受けたのだろう。New Orderは大ヒットを飛ばしていたがその売り上げは、Haciendaの運営に消えていったらしい。 ある作品の素晴らしさがあるとしてそれらを作る要因の一つとして実験が行われるシーンがある。

石塚俊のデザインと空間現代のデザインはどこか共通点がある。それは、欠落している、切れている、その何もない空間が現れる時に爽やかさを感じる。空間現代の曲の高度道路を走っていて加速して、ガードレールにも気づかずそのまま意に介さず空中を切り裂いて直進。あたりまえからとっくにずれてしまったと歌ってはいるが当たり前から全力でずれようとしているその勢い気持ちが画面上にてPCのレイアウトソフトウェアに判断を誤らせて出来上がる何か。